遺産分割協議書・遺言書に「太陽光発電設備」の記載は必要?行政書士が記載例を解説

結論

遺産分割協議書や遺言書に「太陽光発電設備」または「太陽光パネル」という文言を明記しないと、相続後の名義変更手続き(JPEAへの変更認定申請)が進まないことがあります。資源エネルギー庁の資料でも、太陽光パネルは建物付属設備として当然に含まれるものではないとされており、相続対象に発電設備が含まれていることが確認できる記載が必要です。

税理士・司法書士・弁護士の先生方から、「遺産分割協議書に太陽光はどう書けばいいですか」「遺言書に建物だけ書けば足りますか」というご相談をいただく機会が増えています。

再生可能エネルギーの普及に伴い、一般家庭や投資用アパートにおける太陽光発電設備の相続案件が増加しています。しかし実務上、遺産分割協議書や遺言書への記載が不十分なために、後の名義変更手続きでつまずくケースが少なくありません。本記事では、太陽光発電設備を相続する際の注意点と、実務でそのまま使える記載例を行政書士が解説します。

Background

目次

なぜ「建物を相続する」だけでは足りないのか

資源エネルギー庁が公表する変更内容ごとの変更手続の整理表では、太陽光パネルは建物付属設備として当然に認められるものではないとされています。そのため相続の際は、建物と別に明示するか、太陽光パネルを含む全てを相続対象とした記載とするなど、相続対象に発電設備が含まれていることが確認できる内容としておく必要があります。

資源エネルギー庁資料のポイント

単に建物を相続する旨だけを記載するのではなく、太陽光発電設備が相続対象に含まれていることを明確に確認できる内容としておくことが重要です。

そのため、遺産分割協議書や遺言書を作成する際は、個別の事案や他の財産の記載方法との整合性を確認しながら、「太陽光発電設備」または「太陽光パネル」の文言を明示することが実務上のポイントになります。

参考:資源エネルギー庁「変更内容ごとの変更手続の整理表」
公式資料を確認する

Example 1

記載例①|建物とは別に「太陽光パネル」を明示する

建物の情報に続けて、太陽光発電設備も相続または遺贈の対象とする旨を個別に明記する方法です。

【記載例】
所在:〇〇市〇〇町一丁目1番地、家屋番号:〇〇の建物、
および当該建物に設置されている太陽光発電設備(太陽光パネル)

※上記は、太陽光発電設備が相続対象に含まれていることを明確にするための考え方を示した例です。実際の文案は、遺産の内容、遺言・遺産分割の方法、設備の設置状況等に応じて個別にご検討ください。

Example 2

記載例②|「太陽光パネルを含む全て」を対象とする包括的な記載

特定の敷地や建物にある設備一式をまとめて相続させる場合に、その中に太陽光発電設備が含まれることを明記する方法です。

【記載例】
所在:〇〇市〇〇町一丁目1番地、家屋番号:〇〇の建物、
並びにその附属設備、構築物、太陽光発電設備(太陽光パネル)を含む一切の設備

※包括的な記載とする場合でも、「太陽光発電設備」または「太陽光パネル」の文言を明示し、発電設備が相続対象に含まれていることを確認できる内容としておくことが重要です。上記は一般的な記載の考え方であり、個別案件にそのまま適用できることを保証するものではありません。

Will

遺言書の場合のポイント

遺言書を作成する段階でも、まったく同様の注意が必要です。たとえ公証人が作成した公正証書遺言であっても、JPEA・経済産業省の名義変更手続きにおいては厳格な審査対象になります。遺言書に「建物を含めた一切の財産を相続させる」とあっても、太陽光に関する言及がないために手続きが保留になるケースがあります。

💡 実務直結のワンポイントアドバイス

遺言書を作成する実務において、可能であれば設備IDまで記載しておくと、相続発生後の設備特定や名義変更手続きがよりスムーズになります。

相続が発生した後、遺族が故人の通帳を見て初めて売電収入の存在を知るケースは少なくありません。その際、遺言書に「太陽光発電設備(設備ID:英数字10桁)」と書かれていれば、相続人の方が後日の名義変更で迷うことなく手続きを進めやすくなります。特に複数の発電設備がある場合や、資料が散逸している場合には、相続人が対象設備を特定しやすくなる実務上のメリットがあります。設備IDの確認方法はこちらの記事でも解説しています。

For Professionals

税理士・司法書士・弁護士の先生方へ

近年、不動産相続やアパート承継に伴い、太陽光発電設備が一体となった相続案件が増えています。しかし、いざ相続手続きを進めようとすると、以下のような実務上の壁にぶつかるケースが少なくありません。

  • 過去の書類が紛失しており、設備IDが分からない
  • ログイン情報が紛失しており、経産省の事業者IDが不明である
  • 相続人自身が売電契約の存在や残りのFIT期間を知らない

当事務所では、これらの太陽光発電設備の相続・名義変更手続きを、全国対応でサポートしています。

📄 名義変更手続きの代行

相続に伴う太陽光発電設備の変更認定申請を代行します。

🔍 設備ID・事業者IDの調査

不明となった設備ID・事業者IDの調査・特定を行います。

📋 必要書類のご案内

各案件に応じた必要書類のご案内・収集をサポートします。

🌏 各機関への手続き

JPEA・経済産業省・各電力会社への手続きをトータルでサポートします。

税理士、司法書士、弁護士の先生方からのご相談や、クライアント様のご紹介にも対応しています。「太陽光の手続きだけスポットで専門家に任せたい」という場合も、お気軽にお問い合わせください。太陽光名義変更全般の必要書類・費用・手続きの流れについてはこちらのページでも詳しくご案内しています。

Checklist

士業の先生向け|太陽光相続チェックリスト

相続案件において不動産(特に戸建て・アパート)がある場合の確認事項としてご活用ください。

太陽光発電設備の有無を確認したか
屋根の目視確認だけでなく、売電収入用の通帳や明細の有無を確認
設備ID・事業者IDが分かる資料があるか
経済産業省からの認定通知書、JPEAからのハガキ、電力会社との契約書など
遺産分割協議書・遺言書に「太陽光発電設備」の明記があるか
後日の補正リスクを防ぐため、権利関係や可能なら設備IDまで記載されているか
名義変更手続きが必要であることを相続人へ案内したか
登記や税務申告とは別に、経産省・電力会社への手続きが必要である旨の周知

FAQ

よくある質問

Q. 設備IDや事業者IDが分からなくても、相続手続き(名義変更)は進められますか?

A. 事業者IDが不明な場合は、照会手続きを行うことで手続きを進めることができます。一方、設備IDが不明な場合は手続きが止まってしまうことがあり、電力会社などへ相続人様ご自身で問い合わせて確認していただく必要が生じる場合があります。そのため、遺産分割協議書や遺言書の作成段階で設備IDまで記載しておくことが望ましいといえます。

Q. すでに遺産分割協議書を作ってしまいました。太陽光の記載がない場合、作り直す必要がありますか?

A. 必ずしも遺産分割協議書全体を作り直す必要はありません。太陽光発電設備に特化した遺産分割協議の覚書(追加の協議書)を別途作成し、相続人全員の署名捺印をもらうことで、JPEAの手続きをクリアできるケースがあります。

Q. 公正証書遺言がある場合でも、別途JPEAでの手続きが必要ですか?

A. 必要です。遺言書によって建物の所有権が移転しても、経済産業省の発電事業者の名義や電力会社との売電契約は自動的には切り替わりません。遺言書の正本等を添付し、名義変更申請を行う必要があります。

Q. 太陽光パネル付きの賃貸アパートを相続する場合も、手続きは同じですか?

A. 基本的な流れは同じですが、アパートなどの場合は設備容量が10kW以上の事業用(産業用)になっているケースが多く、その場合は提出書類や申請区分が住宅用よりも複雑になります。

Q. 相続した太陽光発電の名義変更にも費用はかかりますか?

A. 行政書士へ依頼する場合は報酬が発生します。案件の内容によって異なりますので、事前にお見積りをご案内します。詳しい費用の目安は太陽光名義変更サポートページでもご案内しています。

相続に伴う太陽光発電の名義変更でお困りですか?

遺産分割協議書や遺言書を作成する前段階でのご相談から、相続開始後の名義変更手続きまで、全国対応でサポートします。

司法書士・税理士・弁護士の先生からのご紹介案件や、実務上のスポット的なご相談にも対応しています。

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