太陽光の名義変更は2種類?国(経済産業省・JPEA)と電力会社の手続きの違いを行政書士が解説

結論

太陽光発電の名義変更では、「国(経済産業省・JPEA)側の認定事業者の変更」と「電力会社等の売電契約の変更」を、それぞれ確認する必要があります。どちらか一方の手続きだけで、もう一方が自動的に切り替わるわけではありません。

電力会社側で変更後の認定通知書等を求められるケースがあるため、通常は国側の申請を先行して進めます。ただし、具体的な手続きの順番や受付条件は、売電先によって異なります。

「太陽光の名義変更は電力会社に連絡すれば終わる」「国に申請すれば電力会社も自動で切り替わる」と考えている方は少なくありません。

実際には、太陽光発電の名義変更は確認すべき手続き先が2か所あり、それぞれ必要書類も役割も異なります。この違いを知らないまま進めると、「申請したのに売電収入の振込先が変わっていない」といったトラブルにつながることがあります。

本記事では、国側と電力会社側の手続きの違い、一般的な進め方、卒FITとFIT期間中で異なる確認事項について、行政書士が実務に沿って解説します。

Comparison

目次

国(経済産業省・JPEA)と電力会社の手続きの違い

まずは2つの手続きの違いを一覧で確認しましょう。

項目 ① 国(経済産業省・JPEA)側 ② 電力会社(売電先)側
何が変わるか 発電設備の認定事業者(国に登録されている名義) 売電契約の名義・売電収入の振込口座
手続き先 再生可能エネルギー電子申請システム(JPEA代行申請センター) 売電契約を結んでいる電力会社等
確認資料の例 卒FITかFIT期間中か、変更の原因などで異なる(下記で解説) 変更後の認定通知書等を求められるケースがある(売電先により異なる)
進める順番 通常は先行して進める 通常は国側の手続きの後に進める(受付条件は売電先により異なる)
難易度 電子申請・書類の要件が厳格で、つまずきやすい 比較的シンプルで、ご自身で手続きできることが多い

ポイント

名義変更で手間と時間がかかりやすいのは、主に①国側の手続きです。電力会社側は、国側の変更内容が確認できる書類が揃っていれば、比較的スムーズに進むことが多い手続きです。

Step 1

① 国(経済産業省・JPEA)側の手続き

FIT・FIP認定を受けた太陽光発電設備は、国に「誰がこの設備で発電事業を行っているか」が登録されています。FIT・FIP認定を受けた太陽光発電設備を売買・相続等によって引き継ぐ場合は、国側の認定事業者に関する変更手続きが必要です。固定価格買取期間が終了した卒FIT設備についても、認定済み設備の名義変更には国側の変更手続きが必要となります。

手続きは再生可能エネルギー電子申請システムを通じて行い、申請の受付窓口は、太陽光発電協会(JPEA)が運営するJPEA代行申請センターです。

卒FITでも国側の名義変更手続きは必要です

卒FITとは、FIT制度による固定価格での買取期間が終了した状態を指します。

買取期間が終了していても、認定済みの太陽光発電設備を売買・相続等によって名義変更する場合は、国側の事業計画に関する変更手続きが必要です。認定状態が「認定中(調達期間終了)」となっている設備では、変更内容に応じて「卒FIT事前変更届出」または「事後変更届出」を行います。

電力会社側の売電契約の名義変更とは別の手続きとなるため、両方を確認することが重要です。

卒FITとFIT期間中では確認資料が異なります

国側の手続きは、設備がFIT認定期間中か卒FITかによって、確認が必要な資料が大きく変わります。以下は当事務所で扱うことの多い、10kW未満の住宅用設備を売買により名義変更する場合の一般的な例です。

区分 一般的な確認資料の例 期間の参考目安(個別に変動)
卒FIT 買主様(新所有者)の印鑑証明書 など 約2か月程度
FIT認定期間中 売主様・買主様の住民票・印鑑証明書、登記簿謄本 など 約3〜4か月程度

※手続きに必要な書類や期間は、売買・相続等の変更原因、設備の出力、申請区分、審査状況によって異なります。掲載している期間は当事務所の取扱いを踏まえた参考目安であり、完了時期を保証するものではありません。行政書士に依頼する場合は委任状も必要です(委任状の様式変更についてはこちら)。

FIT期間中は売主様の書類が必要になることが多い

FIT認定期間中の設備では、売主様の住民票・印鑑証明書等も必要になるケースが多くあります。不動産の決済後に売主様と連絡が取りにくくなると書類の回収が難しくなるため、決済前に確認・準備しておくことが重要です。

国側の手続きでつまずきやすいポイント

  • 設備IDが分からない → 対象の発電設備を特定できず、手続きが止まります(設備IDの調べ方)
  • 事業者ID・パスワードが分からない → 電子申請システムにログインできません(照会手続きについて)
  • 書類の不備 → 差し戻しになり、審査に時間がかかることがあります
  • 10kW以上の設備 → 説明会・事前周知措置の要否確認が必要になる場合があります(10kW以上の説明会について)

Step 2

② 電力会社(売電先)側の手続き

電力会社等の売電先では、売電契約の名義と売電収入の振込口座を変更します。

電力会社側の手続きでは、変更後の認定通知書等の提出を求められるケースがあります。ただし、提出書類や受付条件は売電先・契約区分によって異なります。

売電先によって必要書類は異なります(公式案内の例)

実際に、各社の公式サイトでは次のように案内されています。

売電先(契約区分) 名義変更時に案内されている書類
九州電力送配電
(低圧の再エネ設備)
変更認定通知書、または事前/事後変更届出の受理日が分かるもの(公式案内)
北陸電力送配電
(FIT制度による売電)
受給契約申込書と、変更認定通知書の写し、または事後変更届出の受理日が分かるもの(公式案内)
中部電力ミライズ
(低圧・個人)
国の認定内容が変わる場合は、変更認定通知書の写し、または事後変更届出の受理日が分かるもの。卒FITの場合は同社への書類提出は不要とされていますが、資源エネルギー庁への事前届出は必要と案内されています(公式案内)

※2026年10月時点の各社公式サイトの案内をもとに作成しています。契約区分や設備の状況によって取扱いが異なる場合があるため、最新の情報は各社の窓口でご確認ください。

このように、電力会社側で書類が不要とされる場合でも、国側の手続きは別途必要です。どちらか一方だけを見て判断しないことが大切です。

電気の契約解約のタイミングにも注意

売電先によっては、旧所有者の電気の使用契約(買電契約)の解約にあわせて、売電契約も終了する取扱いとなる場合があります。引越しや解約の手続きを進める前に、売電契約がどうなるかを確認しておくことをおすすめします。

電力会社側はご自身で手続きできることが多いです

電力会社側の手続きは、国側に比べて比較的シンプルです。当事務所では、国側の手続きが済んだ段階で電力会社側の手続きの流れをご案内しています。ご希望があれば電力会社側の手続きにも対応可能です。

Order

一般的な進め方は「国側 → 電力会社」

電力会社側で変更後の認定通知書等を求められるケースがあるため、通常は国側の申請を先行して進めます。ただし、具体的な手続きの順番や受付条件は売電先によって異なるため、個別に確認しながら進めます。

1

設備ID・事業者ID・認定状況を確認

国側の手続きに必要な情報と、FIT期間中か卒FITかを確認します。

2

国側(JPEA)へ変更を申請

設備の状況や変更原因に応じた書類を揃えて、電子申請システムから申請します。

3

変更後の認定内容を確認

変更後の認定内容が分かる書類(認定通知書など)を確認します。

4

電力会社等で売電契約・振込口座を変更

売電先の案内に沿って、必要書類を提出し、売電契約の名義と振込口座を新所有者に切り替えます。

Risk

片方だけで止まっているとどうなる?

国側だけ済んでいる場合

売電契約の名義・振込先が旧所有者のままとなり、売電収入が旧所有者の口座に振り込まれる、または契約状況によっては売電契約が終了している可能性があります。

国側が済んでいない場合

電力会社側で変更後の認定通知書等を求められる場合、手続きを進められないことがあります。時間が経つほど旧所有者と連絡が取りにくくなり、書類集めが難しくなります。

売買の場合は、決済日以降の売電収入の帰属についても事前に確認しておくことが重要です。名義変更が完了するまでの売電収入をどう扱うか、売主様・買主様の間で取り決めておくと、後日のトラブルを防ぎやすくなります。

▶ 太陽光の名義変更をしないとどうなる?放置リスクについてはこちら

Case

実際の相談事例|国側の手続きと電力会社側の手続きが連動するケース

相談事例(内容は一般化・匿名化しています)

ご相談内容:太陽光発電付きの物件を取得されたお客様から、「売電契約の名義を変更したい」とご相談をいただきました。

確認したこと:売電先の電力会社では、名義変更の手続きにあたり国側の認定通知書の提出が必要でした。そのため、先に国側の名義変更手続きを行う必要がありました。

対応と結果:当事務所で国側の手続きを速やかに進め、名義変更が完了。その書類をもとに、電力会社での売電契約の手続きもスムーズに進めることができました。

このように、「売電契約の相談」から始まっても、実際には国側の手続きが先に必要になるケースがあります。設備の認定状況と売電先の契約条件を確認しながら進めることが重要です。

Support

行政書士に依頼できる範囲

手続き 当事務所の対応
① 国側(JPEA) 認定状況の確認、必要書類の確認・整理から電子申請まで代行してサポートします。設備ID・事業者IDが不明な場合の確認もご相談いただけます。
② 電力会社等 国側の手続き後に、手続きの流れと必要書類をご案内します。ご希望があれば対応も可能です。

手間と専門知識が必要なのは主に国側の手続きです。「難しい部分は専門家に任せ、簡単な部分はご自身で」という形で、費用を抑えながら名義変更を進めることができます。

▶ 太陽光名義変更の費用についてはこちら

FAQ

よくある質問

Q. 電力会社に連絡すれば名義変更は終わりますか?

A. いいえ。電力会社等での売電契約の変更とは別に、国(経済産業省・JPEA)側の認定事業者の変更を確認する必要があります。電力会社側で変更後の認定通知書等を求められるケースがあるため、通常は国側の申請を先行して進めます。具体的な順番や受付条件は売電先によって異なります。

Q. 国側と電力会社側を同時に進めることはできますか?

A. 売電先によって取扱いが異なります。電力会社側で変更後の認定通知書等を求められるケースが多いため、通常は国側を先行して進め、電力会社側の受付条件は個別に確認します。

Q. 卒FITなら国側の手続きは不要ですか?

A. いいえ、必要です。買取期間が終了していても、認定済みの設備を売買・相続等で名義変更する場合は、国側の事業計画に関する変更手続きが必要です。認定状態が「認定中(調達期間終了)」の設備では、変更内容に応じて「卒FIT事前変更届出」または「事後変更届出」を行います。売電先によっては卒FITの場合に電力会社への書類提出が不要とされることもありますが、その場合でも国側の手続きは別途必要です。

Q. FIT期間中の名義変更では、売主の書類も必要ですか?

A. 案件によって異なりますが、FIT認定期間中の設備では、売主様・買主様の住民票・印鑑証明書、登記簿謄本などの確認が必要になるケースが多くあります。決済後に売主様と連絡が取りにくくなると書類の回収が難しくなるため、決済前に確認しておくことをおすすめします。

Q. 電力会社側の手続きも行政書士に依頼できますか?

A. 電力会社側の手続きは比較的シンプルなため、多くの方がご自身で手続きされています。当事務所では国側の手続き後に流れをご案内しており、ご希望があれば対応も可能です。

Q. 名義変更が完了するまで、売電収入はどうなりますか?

A. 売電契約の名義・振込先が変更されるまでは、旧所有者の口座に振り込まれることがあります。また売電先によっては、旧所有者の電気契約の解約にあわせて売電契約が終了する取扱いもあります。売買の場合は、決済日以降の売電収入の帰属を事前に確認しておくことが重要です。

国側の名義変更は行政書士にお任せください

認定状況や設備ID・事業者IDの確認から必要書類の整理、電子申請まで、手間のかかる国側の手続きをサポートします。

全国対応・事前見積りによる明朗会計。LINEで資料の写真を送ってご相談いただくことも可能です。

※必要書類や手続きの流れ・順番は、設備の認定状況、出力、名義変更の原因、売電先等によって異なる場合があります。個別案件については資料を確認したうえでご案内します。

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